決済革命 2018 9 9

書名 仮想通貨 金融革命の未来透視図
著者 吉田 繁治  ビジネス社

 最近、「Fintech」技術の進展により、
「決済革命」という言葉が使われるようになっていますが、
この本を読むと、本当の「決済革命」とは、
仮想通貨(暗号通貨)のことであると思いました。
 「実験通貨」かもしれない「ビットコイン」には、
さまざまな問題点があることがわかりました。
 そこで、そういう問題点を解消した、
「クリプト」という仮想通貨が登場したと仮定します。
ここでは、1クリプトは100円と仮定します。
 たとえば、あなたがインターネットで、
アクセサリーショップを開いていたとします。
 1個2,000円のアクセサリーが売れたとします。
お客は、代金をどうやって支払うか。
 2,000円をアクセサリーショップの口座に振り込むか。
これでは、「面倒くさい」と思う客が多いでしょう。
 さりとて、アクセサリーショップに、
クレジットカードの番号を教えるのも問題があるでしょう。
 ここで、仮想通貨があれば、問題は解決するのです。
双方がスマートフォンを持っていて、
支払いは「クリプト」でよいと了解すれば、
「20クリプト」を送信すれば、すぐに決済は終了するのです。
 もうひとつの決済革命は、外国との貿易です。
最近、日本では、チリ・ワインが人気ですが、
1本2,000円相当のワインをチリから買う時に、
代金は、どうやって支払うか。
 2,000円の日本円を受け取っても、
チリの人たちは、困ってしまいます。
 さりとて、日本で「チリ・ペソ」という通貨を用意しますか。
そういう通貨は、日本国内では調達できないでしょう。
 現状では、2,000円相当のドルを調達して、
国際コルレス銀行を経由して、チリの人たちに送金するのです。
 この送金方法では、何日もかかりますが、
ドルならば、チリの人たちは、受け取るでしょう。
 しかし、チリの人たちが、仮想通貨の「クリプト」でよいと言うならば、
スマートフォンで、チリに送信すれば、決済は終了します。
 しかしながら、多くの人たちは、こう言うでしょう。
「どこが発行したかわからない仮想通貨は、信用できない」
 その通り。
信用できないでしょう。
 しかし、政府が仮想通貨を発行したら、どうなるか。
世界には、劇的な変化が起こります。
 小国が大国に勝てる可能性があります。
たとえば、北欧のエストニア共和国が仮想通貨を発行する場合です。
おそらく、世界のマネーがエストニアに流れ込むかもしれません。
 ところで、相変わらず、「ビットコイン」という仮想通貨は、
誰が考えたのかという「犯人探し」が行われています。
 最近では、アメリカの国防総省であるとか、
アメリカの「ある機関」であるとか、いろいろな説があります。
 「ビットコイン」は、「ブロックチェーン」という仕組みの一部分に過ぎませんので、
このような広大なシステムを構想するのは、とても個人では無理です。
組織的な人材が不可欠です。
 どうして、アメリカだと疑われるのか。
基軸通貨であるドルを危うくする仮想通貨を、
なぜ、アメリカが考えたと疑われるのか。
 それは、金融危機や経済危機のたびに、
金融機関を救済するために巨額のドルを印刷した結果、
ドルの価値がひたすら減価していったというのが、
この50年の歴史です。
そこで、何か対策を考える必要があります。
 たとえば、日本円では、
昔は、1ドル360円だったのに、1ドル200円になり、
今では、1ドル100円になっています。
 日本銀行も、アメリカに対抗して大量に円を印刷しましたが、
それでも、ドルの減価を止められなかったのです。
 また金融危機や経済危機が発生したら、どうなるか。
1ドル50円は許容範囲かもしれませんが、
1ドル10円や1ドル1円は、容認できません。
そうなったら、日本がアメリカを丸ごと買収するでしょう。
 最近、どこの国も、貿易振興のために、
自国通貨の「通貨安」政策を推進していますが、
本来、通貨安というような政策は、間違いです。
「ドルが強いということは、アメリカの国益である」と言うべきです。


























































スマートフォンのトップページへ